「月を見てから釣りに行け」は、釣りの中でもいちばん古いアドバイスの一つで、いちばん大げさに語られがちなものの一つでもあります。根拠がはっきりしている部分もあれば、そうでない部分もあります。このページでは両方を正直に整理し、天気の代わりではなく、天気とあわせて見る目安として月齢と時合を使う方法を紹介します。
「月齢」と「時合」は別のもの
「月が釣りに効く」と言うとき、実は2つの違う話がまざっていることがよくあります。
月齢(潮回り)
新月から満月、そしてまた新月へと、約29.5日でめぐる月の満ち欠けです。新月と満月のころは太陽・地球・月が一直線に並んで潮の動きが大きくなり(大潮)、半月のころは小さくなる(小潮)。「大潮は釣れる」という言い伝えは、この潮の動きと結びついています。
時合(ソルナー理論のメジャー・マイナー)
1日の中で月がどこにあるかに注目する考え方です。月が真上(南中)と真下(北中)を通る時間を中心にした約2時間をメジャー、月の出と月の入りの前後を短めのマイナーとし、その時間に魚がよく食うとされます。
多くの釣りアプリのソルナー表(私たちのアプリも含めて)は、この2つを一緒に表示しています。月齢は「いい週」を、時合は「1日の中のいい2時間」を探す道具だと考えると整理しやすくなります。
根拠がはっきりしているのは「潮のある水」
月の引力は海の水を実際に動かし、海とつながった水域には本物の潮汐が生まれます。潮が動けばベイトが流され、エサが舞い上がり、魚が食う理由がはっきりします。これは仮説ではなく、よく知られた物理です。
私たちが紹介している6つの湖では、海とつながった汽水湖のサロマ湖と小川原湖がこれにあたります。この2つでは、メジャーの時合が「動いている潮」(満潮・干潮の止まった時間ではなく)と重なるかを見るのが、いちばん筋の通った使い方です。ただし潮見表は港のデータなので、湖の中の潮は外の港より遅れたり、小さくなったりします。詳しくは小川原湖のガイドで紹介しています。
淡水の湖では、目安として
琵琶湖、霞ヶ浦、猪苗代湖、諏訪湖は、海とつながっていない淡水の湖です。月がこの規模の湖の水を目に見えるほど動かすことはなく、潮の満ち引きはほとんどありません。月が影響しているとしても、それは潮ではなく、夜の明るさの変化や魚の体内リズムのような、まだはっきりしない別の仕組みということになります。
淡水でのソルナー理論は、物理的な裏付けよりも経験と言い伝えに支えられている部分が大きい考え方です。だから間違いだ、というわけではありません。長く受け継がれてきた釣りの知恵には、証明されていないものもたくさんあります。ただ、潮のある水での話とは、根拠の種類が違うということです。
研究ではどうわかっている?
今のソルナー理論のもとになったのは、アメリカのジョン・アルデン・ナイトが1920〜30年代にまとめた考え方です。記録的な釣果の報告を約200件調べて、そこに見えたパターンから組み立てました。興味深い観察ですが、本人による非公式な分析で、条件をそろえた研究ではありません。
その後の研究の結果も、はっきりしたものではありません。外洋の魚についての約190の研究をまとめたレビューでは、月明かりが強くなると魚が深く潜るという結果が半分あまり、その逆は5%ほどで、反応は魚種によって大きく違いました。「月が明るいほどよく食う」という単純な話にはなっていません。
ソルナー表が「当たる」ように感じる理由として、もっと身近な説明もあります。メジャーの時合はよく朝や夕方に重なりますが、朝夕はもともと光量の変化で釣れやすい時間帯です。さらに、時合と釣果が重なった日は記憶に残り、外れた日は忘れやすい、という思い込みの効果も知られています。
上手な使い方
- 決め手のひとつとして使う:天気や水温が同じくらいの2日で迷ったら、メジャーの時合が朝夕に重なる日を選ぶ。これがいちばん無理のない使い方です。
- 「低い」日でも釣行をやめない:天気、水温、季節、場所のほうが、月よりずっと大きく釣果を左右します。
- 潮のある湖では潮を優先:サロマ湖や小川原湖では、時合そのものより、潮が動いている時間かどうかを見ましょう。
- 自分の記録と照らし合わせる:釣れた日の時合、天気、水温を記録しておくと、自分の通う湖でどのくらい当てになるかが見えてきます。
時合は「行くかどうか」ではなく「どの時間に竿を出すか」を決めるヒント。天気と水温を見たうえで、最後の一押しに使いましょう。
私たちが作ったアプリ
『釣れるかな?』
『釣れるかな?』は、月齢やソルナー理論の時合だけでなく、天気・気圧・水温・潮汐もあわせてスコアにします。時合だけで判断しないための道具として、天気とあわせてチェックしてください。
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